「法要」と「法事」の違いとは?法要の意味や時期、手順やマナーまで、さまざまな疑問を解消!
公開日:2023/08/11
更新日:2024/04/17
● 「法要」と「法事」の違いを知りたい方
● 法要の意味や由来について知りたい方
● 法要で行われる儀式について知りたい方
● 法事・法要のマナーが気になる方
1. 「法要」とは? 「法事」との違いは?
大切な方が亡くなった後、家族や親族が集まって数年後ごとに行われる法事や法要。その意味や由来などについて、改めて考える機会はあまり多くはないことでしょう。ここでは、「法事と法要って同じ?」、「どのような意味があるの?」、「いつまで続けるべき?」など、「法事」と「法要」についてのさまざまな疑問にお答えします。
■法要とは?
「法事」と「法要」の違いをわかりやすくするために、まずは「法要」について理解しておきましょう。法要とは、故人を供養するために行われる儀式のこと。僧侶が読経し、参列者は焼香を行うことにより、故人があの世で穏やかに過ごせるように手助けする、仏教における大切な儀式のひとつです。
■法事とは?
「法事」も、故人の冥福を祈るために行うものであることは同じです。法事は、法要の儀式に加え、集まった家族や親族による会食、お墓参りなどを含めた一連の行事を指します。「法事」の中に「法要」も含まれているため両者を混同しがちですが、厳密には異なるものであることを理解しておいたほうがよいでしょう。
2.法要の意味と由来
宗派によって考え方は異なりますが、法要には「忌日法要」と「年忌法要」があり、法要が行われる時期にはそれぞれ意味や由来があります。あらかじめ理解しておくことで、より法事・法要の大切さを実感できるかもしれません。
■忌日法要
故人が亡くなってから四十九日までを「中陰」といい、この間に閻魔大王ら裁判官による審判が7日ごとに行われ、来世の行き先が決まるとされています。来世には「六道」と呼ばれる苦しみを伴う世界と、一切の苦しみがない安楽の世界「極楽浄土」があると考えられており、残された家族は、故人が無事に極楽浄土へ旅立てるようお祈りするのです。これを「追善供養」といいます。
死後7日目から法要を始め、裁きに合わせて7日ごとに供養を行い、最後の審判が下される四十九日をもって「忌明け」とすることが一般的です。この考え方にもとづき、本来は四十九日までの間に7回の法要が営まれるのですが、現在は「初七日」と「四十九日」の法要以外は省略されることが多くなっています。四十九日法要の後は、百か日法要、年忌法要と続きます。
■年忌法要
故人が亡くなった同月同日の命日を「祥月(しょうつき)命日」といいます。年忌法要は、毎年の祥月命日に行う追善供養です。亡くなった翌年に行うのが「一周忌」、その翌年が「三回忌」で、二回忌はありません。一周忌は亡くなってから満一年後に行いますが、三回忌以降は亡くなった年も含めて数えます。たとえば、七回忌の法要は死後6年目、十三回忌は死後12年目に行う法要です。
年忌法要は、極楽浄土に旅立った故人がさらなる精進の道へと進むために行うものとされています。四十九日までの法要はインド仏教の考え方に由来するといわれていますが、百か日、一周忌、三回忌の法要は中国の儒教の考え方がベースになっていると考えられています。そして、七回忌以降の年忌法要は、日本独自の価値観や習俗の影響を受けて新たに加えられたものです。
3.法要で行われる儀式
法要の儀式そのものに決まりはありませんが、僧侶による読経の後、参列者による焼香を行うことが一般的です。僧侶によっては法話が行われることもあります。
そのほか、忌明けとなる四十九日法要では、納骨や故人の魂を仮位牌から本位牌へ移す儀式を併せて行うことがあります。また、節目の法要ごとに「卒塔婆供養」を行うことも少なくありません。それぞれの儀式について、詳しくご紹介します。
■納骨式
納骨式は墓前で行われる儀式です。遺骨をお墓の納骨室に収め、僧侶による読経、参列者による焼香を行います。また、新しくお墓を建てた場合は、納骨の前に開眼供養が行われます。
納骨の時期に決まりはありませんが、すでにお墓の用意がある場合、四十九日法要にあわせて納骨することが大半です。一方、お墓がなく、新しいお墓を手配する場合は、一周忌や三回忌を目安に納骨を行う場合が多いようです。
■卒塔婆供養
卒塔婆供養とは、お墓の後ろに卒塔婆(細長い木の板)を立てる供養のことをいいます。納骨時や年忌法要の際に立てることが多く、故人にとって良い供養になるといわれていますが、卒塔婆を立てなければいけないことはなく、立てる時期にも決まりはありません。また、卒塔婆供養を行わない宗派もあります。
4. 法要は何回忌まで行うもの?
各ご家庭の事情にもよりますが、一周忌、三回忌までは、家族や親族、友人、知人などを招き、比較的規模の大きい法要を営むことが多いようです。その後、七回忌からは招く人数を減らし、身内だけでささやかに行う場合が多くなっていく傾向があります。そして、三十三回忌を区切りとして、年忌法要を切り上げる(「弔(とむら)い上げ」)ことが大半です。
これは、仏教では死後33年経つと、すべての人が極楽浄土へ行けると考えられていること、また遺族の高齢化により法要を行うことが年々困難になってくること、などの理由があります。なお、宗派によっては、五十回忌を弔い上げとする場合やその後も法要を続ける場合があるので、菩提寺に確認してみましょう。
■法要の種類と時期
【忌日法要】
法要 | 時期 | 概要 |
---|---|---|
初七日 | 死後7日目 | 遺族、親族をはじめ、友人、知人も列席。現在は、葬儀当日に「繰り上げ初七日」法要を行うことが増えている |
二七日 | 死後14日目 | 省略されることが多い |
三七日 | 死後21日目 | 省略されることが多い |
四七日 | 死後28日目 | 省略されることが多い |
五七日 | 死後35日目 | 宗派や地域によっては、五七日忌を忌明けとすることもある |
六七日 | 死後42日目 | 省略されることが多い |
七七日 (四十九日) |
死後49日目 | この日に忌明けの法要や納骨を行うことが一般的 |
百か日 | 死後100日目 | 省略されることが多い |
【年忌法要】
法要 | 時期 | 概要 |
---|---|---|
一周忌 | 亡くなった翌年の祥月命日 | 遺族、親族をはじめ、友人、知人も列席することが多い |
三回忌 | 死後2年目 | 遺族、親族をはじめ、友人、知人も列席することが多い |
七回忌 | 死後6年目 | 七回忌以降、少しずつ規模を縮小していく傾向にある |
十三回忌 | 死後12年目 | 遺族のみで行うことが一般的 |
十七回忌 | 死後16年目 | 遺族のみで行うことが一般的 |
二十三回忌 | 死後22年目 | 遺族のみで行うことが一般的 |
二十七回忌 | 死後26年目 | 遺族のみで行うことが一般的 |
三十三回忌 | 死後32年目 | これをもって弔い上げとすることが多い。遺族、親族のほか、友人、知人が列席することも |
5. 法事・法要の手順や準備
四十九日や一周忌、三回忌といった規模の大きい法要は、僧侶や参列者を招いて行うため、ゆとりをもって準備をしましょう。できれば2ヶ月以上前から準備を始めたいところです。
■法事・法要の準備
法事・法要の準備は、以下のような手順で進めます。
(宗派によっては行わない)
■用意が必要なもの
故人の位牌と写真、お布施(寺院への謝礼)のほか、お菓子や果物などの御供物、参列者への引き物を用意します。引き物は、「消えもの」と呼ばれる、食べたり、使ったりして後に残らないものを選ぶことが多いようです。また、参列者が持ち帰ることを考慮して、生ものやかさばるものは避けましょう。
6. 法事・法要に必要な費用、予算の目安
法事・法要を行うにあたって、気になるのが費用面。法事・法要にかかる主な費用には、「寺院・僧侶に対する費用」「会食代」「引き物代」があります。以下、それぞれの費用について解説します。
■寺院・僧侶に対する費用
法要では僧侶に読経を依頼します。読経していただく僧侶へのお礼として「お布施」をお包みします。もともと「お布施」は気持ちを表すものであり明確な相場はありませんが、一般的には3〜5万円とされることが多いようです。
寺院の施設を借りて会食を行ったり、参列者へお菓子やお茶などを用意していただいたりする場合は「御席料」をお包みします。金額は3〜5千円程度が一般的です。また、御供物は寺院で用意していただけることもあるので、その場合は「御供物料」として5千円程度をお布施とは別に用意します。
法要を菩提寺で行わず自宅や会場まで出向いていただく場合は、「御車代」として5千円〜1万円程度をお包みします。そのほか、卒塔婆供養をする場合は、「卒塔婆料」または「卒塔婆供養料」が必要です。1本あたり3千円〜1万円程度が目安とされていますが、あらかじめ寺院に確認しておきましょう。
■会食代
法要後の会食のことを「お斎(とき)」ともいいます。僧侶や参列者に対して、感謝の気持ちを込めておもてなしをする場です。会食費の平均は、一人5千円〜1万円が相場といわれています。自宅や斎場で行う場合は仕出しなどを手配することが一般的ですが、法要を行った会場とは別にレストランやホテルなどを予約してもよいでしょう。その場合は、個室などの利用料がかかる場合もあります。なお、僧侶が会食に出席されない場合は、「御膳料」として5千円~1万円程度をお渡しするとよいでしょう。
■引き物代
法要では、参列者に対して「引き物」と呼ばれる返礼品をお渡しするのが一般的です。引き物代は、一人あたり2〜5千円程度が相場といわれています。
その他、自宅や寺院の他に会場を借りる場合は、会場代も必要です。地域の慣習や宗派の違い、参列者の人数、会場の規模によっても予算は異なりますので、あくまでも目安としていただければ幸いです。
7.法要に招かれたときのマナー
法要は、一般的な葬儀や告別式とは異なり、施主から招かれた人だけが集まって、故人を供養する儀式です。ここでは、法要に招かれたときや参列する際のマナーなどについてご紹介します。
■法要に招かれたら出席するのが原則
法事・法要に招かれたときは、都合をつけて出席するのがマナーです。案内状が届いたら、できるだけ早く返事を出しましょう。また、法事・法要はあくまでも招かれて出席するものです。どんなに親しい間柄であっても、自分から問い合わせることは控えましょう。
やむを得ない事情で欠席する場合は、手紙や電話でお詫びをするか、案内状にお詫びの一文を添えて返信します。そして、供物料または御供物、供花などを法要の前日までに届くように手配しましょう。
■参列する際の服装は?
葬儀とは異なるため、どのような服装をしていったらよいか迷う方が多いかもしれません。一般的には、三回忌くらいまでは喪服、七回忌以降は平服ということが多いようです。喪服を着ていけば間違いはありませんが、身内だけが集まる場なので、黒や濃いグレー、濃紺等の色合いであり、飾りや光ものが付いていないものであれば喪服でなくても構いません。案内状に「平服で」と記されている場合、男性はダークスーツ、女性はシックな色のワンピースやスーツなどにします。わからない場合は、事前に施主に確認し、それに準じた服装で訪問しましょう。
■当日持参するものは?
当日は、不祝儀袋に「御仏前」(四十九日より前は御霊前)として現金を包みます。故人との関係によっても違いますが、金額の目安としては、1人1~2万円程度、夫婦など2人で参列する場合は2〜3万円程度を包むことが多いようです。御仏前には、黒白または銀一色の水引の不祝儀袋を使います。 御仏前の他に、御供物を贈る決まりはありませんが、お菓子や果物、線香などを添えるとより丁寧です。
8.法事・法要にまつわるQ&A
法事・法要を営むという経験は誰にとっても初めてであり、わからないことが多いものです。ここでは、法事や法要に関する、よくある質問とその回答をQ&A形式でご紹介します。
命日が平日なので、三回忌の法要を前倒しで行ってもいいですか?
法要を命日より前に繰り上げて行うことについて、特に決まりやしきたりなどはありません。当日に集まることが難しいときは、命日より前の土日などに行われることが多いようです。仏教の教えでは「法要は先延ばしにしてはいけない」とされていますので、命日より前に行うことがどうしても難しい場合は、菩提寺や親族の方に相談してみるとよいでしょう。
友引の日に法要を行うことは避けるべきですか?
六曜はもともと中国から伝わった古い占いのようなもので、本来は仏事とは無関係です。そのため、特にこだわる必要はありません。とはいえ、家族や親族に六曜を気にする方がいらっしゃる場合は、別の日を検討したほうが無難かと思われます。
父の七回忌と祖母の十七回忌が近いので、あわせて行ってもいいですか?
一年のうちに2つ以上の年回忌が重なる場合は、法要を合わせて行うことも少なくありません。同じ日に複数の法要を行うことを「併修(へいしゅう)」または「合斎(がっさい)」といいます。その場合、日取りは早いほうの命日に合わせることが一般的です。施主と参列者双方の負担を減らせることから、近年は併修が増えつつありますが、亡くなってから年月の浅い法要、少なくとも一周忌までは単独で行うことが望ましいといえるでしょう。
9.まとめ
●「法要」と「法事」は、厳密には異なるもの
・「法要」は、故人の命日に行われる読経や焼香などの儀式のことを指す
・「法事」は、法要やその後の会食などを含めた一連の行事のことをいう
●法要には「忌日法要」と「年忌法要」がある
・四十九日をもって「忌明け」とすることが通例
・一周忌以降は祥月命日に「年忌法要」を行う
・三十三回忌を「弔い上げ」とすることが一般的
●法要に招かれたら出席することが原則
・やむを得ず欠席するときは早めにお詫びをして供物料などを手配する
・当日は、「御仏前」として不祝儀袋に現金を包んで持参する
・服装は三回忌頃までは喪服、七回忌以降は平服とすることが多い
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