テーマ:終活

遺言書とは?大切な家族に想いを残す「最後のラブレター」

公開日:2026/09/25

更新日:2026/09/25

遺言書とは?大切な家族に想いを残す「最後のラブレター」

葬儀アイコン目次

「遺言書」と聞くと、「財産がたくさんある人が書くもの」「自分の死後について考えるのは縁起が悪い」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、遺言書は財産の多い人だけに必要なものではありません。遺された家族が相続の手続きを進める際に、財産の分け方をめぐるトラブルを防ぐだけでなく、「自分はこうしてほしい」という意思や、大切な人への想いを伝える手段にもなります。
遺言書は、いわば家族に残す最後のメッセージです。
本コラムでは、遺言書の基本的な役割から、種類や作成する際の注意点、家族間のトラブルを防ぐためのポイントまで、分かりやすく解説します。

1.遺言書とは

① 遺言書の役割

遺言書とは、自分が築いてきた財産を、死後「誰に」「どのように」引き継いでもらいたいかという、自分の意思を法的に残しておくための文書です。
単なる希望を書いた手紙とは異なり、法律で定められた要件を満たした遺言書には、法的な効力があります。
遺言書を残しておくことで、財産の分け方について自分の意思を家族に伝えることができ、相続手続きを進める際の家族の負担やトラブルを減らすことにもつながります。

② 遺言書が必要になる理由

人が亡くなり、複数の相続人がいる場合、遺言書がなければ、原則として相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。
家族であっても、財産の分け方について意見が一致するとは限りません。「自分が多く受け取るべきだ」「生前に自分が親の面倒を見てきた」など、それぞれの考えや事情が重なることで、話し合いが長引いたり、家族間のトラブルにつながったりすることがあります。
遺言書があれば、自分の意思をあらかじめ示しておくことができるため、残された家族の負担を減らし、相続を円滑に進めるための備えになります。

③ 遺言書がある場合とない場合の違い

遺言書がない場合、原則として相続人全員で遺産の分け方を話し合い、「遺産分割協議書」を作成します。そのため、相続人同士の話し合いがまとまらない場合や、連絡が取れない相続人がいる場合には、手続きが進めにくくなり、長期化することがあります。
一方、遺言書がある場合は、原則として遺産分割協議を行う必要がなく、遺言書の内容に沿って相続手続きを進めることができます。
このように、遺言書は財産の分け方を決めておくだけでなく、残された家族が相続手続きを進める際の負担を減らすための大切な備えでもあります。

2.遺言書が必要なのはどんな人?

遺言書は、財産の多い人だけに必要なものではありません。家族構成や財産の状況によっては、特に遺言書を作成しておいた方がよいケースがあります。
ここでは、遺言書を検討しておきたい代表的なケースをご紹介します。

① 子どもがいないご夫婦

子どもがいない場合、配偶者だけでなく、故人の親や、親がすでに亡くなっている場合は兄弟姉妹なども相続人になることがあります。
そのため、残された配偶者が、これまであまり交流のなかった親族と遺産の分け方について話し合わなければならない場合があります。
「財産をすべて配偶者に残したい」という希望がある場合は、遺言書を作成しておくことで、配偶者の相続手続きの負担を軽減できる可能性があります。

② 再婚している方

現在の配偶者と、前の配偶者との間に生まれた子どもは、どちらも相続人になります。
現在の家族と前の家族が日頃から交流していない場合、相続が発生してから初めて連絡を取り合うことになり、遺産の分け方について話し合うことが負担になる場合があります。
家族構成が複雑な場合は、自分の財産を誰にどのように残したいのか、あらかじめ遺言書にしておくことが大切です。

③ 相続人同士が疎遠になっている方

長年連絡を取っていない家族がいる場合や、相続人が遠方・海外に住んでいる場合などは、相続人全員で話し合うこと自体が難しくなることがあります。
遺言書を作成しておくことで、自分の意思をあらかじめ明確にしておくことができ、相続手続きを進める際の負担を減らすことにつながります。

④ 相続人以外の人や団体に財産を残したい方

「長年介護をしてくれた息子の妻に財産を残したい」「お世話になった人に財産を渡したい」「特定の団体に寄付したい」など、法定相続人以外の人や団体に財産を残したい場合は、遺言書を活用することができます。
こうした希望を実現するためには、誰に、どの財産を残したいのかを遺言書に明確にしておくことが重要です。

⑤ おひとりさまの場合

法定相続人がいない方が亡くなった場合、一定の手続きを経たうえで、最終的に財産は国庫に帰属します。
「親しい友人に財産を残したい」「お世話になった団体に寄付したい」など、自分の希望する相手に財産を残したい場合は、遺言書によって意思を残しておくことが大切です。



このほかにも、特定の子どもに多くの財産を残したい場合や、家業・事業を特定の人に引き継ぎたい場合など、遺言書を作成しておくことで自分の意思を伝えやすくなるケースがあります。

3.遺言書の種類

遺言書にはいくつかの種類がありますが、一般の方が知っておきたいのは、自分で作成する「自筆証書遺言」と、公証人が作成する「公正証書遺言」です。
また、自筆証書遺言については、法務局で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」も利用できます。
それぞれ、作成方法や費用、保管方法、死後の手続きなどに違いがあります。主な違いを見てみましょう。

① 自筆証書遺言

自筆証書遺言は、自分で作成する遺言書です。比較的手軽に作成でき、費用もほとんどかからないことが特徴です。
一方で、法律で定められた形式に沿って作成する必要があります。例えば、遺言書本文の自筆、日付、署名、押印など、一定の要件を満たさなければなりません。
また、自宅などで保管していた自筆証書遺言は、原則として、亡くなった後に家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。

② 公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書です。原則として2名の証人が立ち会い、遺言者の意思を確認しながら作成します。
公証人が法律上の形式に沿って作成するため、形式の不備によって遺言書が無効になるリスクを抑えられます。また、原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。
公正証書遺言は、亡くなった後の家庭裁判所での「検認」も必要ありません。

③ 自筆証書遺言書保管制度

自筆証書遺言書保管制度は、自分で作成した自筆証書遺言を法務局で保管してもらう制度です。
2020年7月から始まった制度で、自宅などで保管する場合と比べて、遺言書の紛失や、相続人などによる改ざん・隠匿のリスクを抑えることができます。
また、この制度を利用して法務局に保管された自筆証書遺言は、亡くなった後の家庭裁判所での「検認」が不要です。

■遺言書の作成・保管方法による違い

自筆証書遺言
(自宅等で保管)
自筆証書遺言
(法務局で保管)
公正証書遺言
作成方法 自分で作成 自分で作成 公証人が作成
費用 基本的に不要 保管申請手数料が必要 財産額等に応じて必要
保管 自分で保管 法務局で保管 公証役場で保管
紛失・改ざんのリスク あり 抑えられる 抑えられる
検認 原則必要 不要 不要

4.遺言書には何を書ける?

遺言書には、法律上の効力を持つ「法定遺言事項」と、法的な効力はないものの、家族への思いや考えを伝える「付言事項」を書くことができます。
ここでは、遺言書に記載できる代表的な内容をご紹介します。

①財産の分け方を決める

遺言書では、「誰に」「どの財産を」引き継いでもらうかを指定できます。
例えば、「自宅の土地と建物は長男に」「〇〇銀行の預金は長女に」といったように、財産の分け方を具体的に示すことができます。
このように、相続する割合や遺産の分け方を指定することを、法律上は「相続分の指定」「遺産分割方法の指定」などといいます。

②遺言執行者を指定する

遺言書の内容を実現するために、手続きを進める人を「遺言執行者」として指定することができます。
遺言執行者は、遺言書の内容に沿って、預貯金の手続きや不動産の名義変更などを進めます。
相続人の誰かを指定することもできますが、弁護士や司法書士などの専門家を指定することで、家族の負担を減らし、手続きをスムーズに進められる場合があります。

③子どもを認知する

婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもを、遺言によって自分の子どもとして認知することができます。
生前に認知することが難しかった場合でも、遺言書を通じて意思を示すことができます。

④相続人以外の人に財産を残す

法定相続人以外の人や団体に財産を譲ることもできます。これを「遺贈」といいます。

例えば、
・息子の妻に財産を残したい
・孫に財産を譲りたい
・内縁の配偶者に財産を残したい
・お世話になった人に財産を譲りたい
・NPO法人などの団体に寄付したい
といった希望がある場合、遺言書にその内容を記載することで、自分の意思を残すことができます。

⑤家族へのメッセージを残す

遺言書には、財産の分け方だけでなく、家族への思いや感謝の気持ちを書くこともできます。これを「付言事項」といいます。

例えば、
・なぜこのような財産の分け方にしたのか
・これまで支えてくれた家族への感謝
・家族や兄弟姉妹に伝えたい思い
・これからも仲良く暮らしてほしいという願い
などです。

付言事項には、財産の分け方のような法的な効力はありません。しかし、遺言を残した人の思いや考えを家族に伝える大切な役割があります。
特に、相続人によって財産の分け方に差をつける場合には、「なぜこのような分け方にしたのか」という理由を伝えておくことで、残された家族が故人の思いを理解するきっかけになることもあります。

5.遺言書を書くときの注意点

遺言書は、ただ思いを書き残せばよいわけではありません。法律で定められたルールに沿って作成しなければ、せっかくの遺言が無効になってしまうことがあります。
また、内容についても、残された家族が困らないように配慮することが大切です。ここでは、遺言書を作成するときに特に注意したいポイントをご紹介します。

①法律で決められたルールを守る

特に自筆証書遺言の場合は、法律で定められた形式を守る必要があります。
例えば、遺言書の本文、作成した日付、氏名は自分で書き、押印する必要があります。日付は「吉日」などではなく、具体的な年月日を記載します。
なお、財産目録については、パソコンで作成したものや、通帳・登記事項証明書などのコピーを添付することもできます。ただし、その場合は、財産目録の各ページに署名・押印が必要です。
また、書き間違いを訂正する場合にも決められた方法があります。修正液などで書き直すのではなく、法律に沿った方法で訂正する必要があります。
「少し間違えただけだから大丈夫」と自己判断せず、形式に不安がある場合は、専門家に確認してもらうと安心です。

②遺留分にも配慮する

遺言書では、自分の財産を誰に残すかを自由に指定できますが、一定の相続人には、法律上保障された最低限の取り分があります。これを「遺留分」といいます。
遺留分が認められているのは、原則として配偶者、子どもなどの直系卑属、父母などの直系尊属で、兄弟姉妹には遺留分はありません。
例えば、「全財産を特定の人に譲る」という遺言を残すこと自体はできます。しかし、遺留分を侵害された相続人から、財産を受け取った人に対して、金銭の支払いを求める「遺留分侵害額請求」が行われる可能性があります。
そのため、特定の人に財産を多く残したい場合などは、遺留分についても考慮したうえで、家族が後から争うことにならないように内容を検討することが大切です。

③財産を正確に記載する

「私の預金は妻に」といった曖昧な書き方では、どの財産を指しているのか分からず、手続きに時間がかかる可能性があります。
預貯金であれば、金融機関名、支店名、預金の種類、口座番号などを記載するなど、どの財産なのかを特定できるようにしておくと安心です。
不動産についても、登記事項証明書などを確認し、所在や地番などを正確に記載することが大切です。法務局も、自筆証書遺言では財産を特定できるよう正確に記載することを案内しています。

④内容を定期的に見直す

遺言書を作成した後も、財産や家族の状況は変わることがあります。
例えば、
・不動産を売却した
・預金口座を解約した
・新たに財産を取得した
・相続させる予定だった人が先に亡くなった
・家族構成が変わった
といった場合です。
そのため、遺言書は一度作って終わりではなく、財産や家族の状況に変化があったときには内容を確認し、必要に応じて見直すことが大切です。

6.遺言書があってもトラブルになることはある?

「遺言書さえあれば、相続は安心」と思われがちですが、遺言書があっても、内容や家族の状況によってはトラブルになることがあります。
せっかく残した遺言書が家族の争いの原因にならないよう、次のようなケースには注意が必要です。

①遺留分をめぐってトラブルになるケース

例えば、「長男に全財産を相続させる」といった遺言を残した場合、一定の相続人には法律上保障された最低限の取り分である「遺留分」があるため、財産を受け取れなかった相続人から「遺留分侵害額請求」が行われる可能性があります。
その結果、相続人同士の話し合いが必要になったり、場合によっては争いに発展したりすることもあります。
特定の相続人に財産を多く残したい場合は、遺留分についても考慮しておくことが大切です。

②財産の内容が曖昧なケース

「不動産は長男に、現金は次男に」といった遺言でも、具体的にどの財産を指しているのか分からない場合があります。
例えば、不動産を複数所有していたり、預貯金や株式などの財産について記載がなかったりすると、遺言書に書かれていない財産について、相続人同士で話し合いが必要になることがあります。
財産はできるだけ具体的に特定し、漏れがないように記載することが大切です。

③古い遺言書のままになっているケース

遺言書を作成した後に、財産や家族の状況が変わることもあります。
例えば、遺言書で相続させると指定した不動産をすでに売却していたり、指定していた相続人が先に亡くなっていたりするケースです。
また、何年も前に作成した遺言書の内容が、現在の家族関係や自分の考えと合わなくなっていることもあります。
遺言書は一度作成して終わりではなく、財産や家族の状況に変化があったときには、内容を見直すことが大切です。

④家族に「なぜこの分け方なのか」が伝わっていないケース

遺言書に財産の分け方だけを書いて、その理由を何も伝えないと、「なぜ自分の取り分が少ないのか」と家族が不満を感じることがあります。
例えば、「長男には生前に住宅購入資金を援助したため、今回は次男に多く財産を残したい」
といった理由があれば、残された家族が故人の考えを理解するきっかけになります。
こうした思いや理由は、遺言書の「付言事項」として残すことができます。
遺言書は、財産の分け方を決めるだけでなく、「なぜこのようにしたのか」という自分の思いを家族に伝えることも大切です。

7.遺言書を作る前にやっておきたいこと

遺言書は、いきなり書き始めるのではなく、まず自分の財産や家族の状況を整理し、自分の意思を明確にしておくことが大切です。
ここでは、遺言書を作成する前にやっておきたい4つの準備をご紹介します。

①財産を整理する

まずは、預貯金、不動産、株式、生命保険など、自分がどのような財産を、どこに、どれくらい持っているのかを把握しましょう。
財産を一覧にした「財産目録」を作っておくと、遺言書を書く際にも役立ちます。
また、借金やローンなどのマイナスの財産がある場合も、忘れずに確認しておきましょう。
近年では、ネット銀行やネット証券など、インターネット上で管理している財産も増えています。こうしたデジタル上の財産や契約についても、家族が把握できるよう整理しておくことが大切です。

②相続人を確認する

次に、自分が亡くなった場合、誰が相続人になるのかを確認しておきましょう。
特に、再婚している方や、以前の結婚で子どもがいる方、認知した子どもがいる方などは、本人が把握していない相続人がいる可能性もあります。
必要に応じて戸籍謄本などを確認し、誰が相続人になるのかを正確に把握しておくと安心です。

③家族と話し合う

可能であれば、元気なうちに、**「自分はどのように財産を残したいのか」「なぜそのようにしたいのか」**を家族に伝えておくことも大切です。
もちろん、遺言書の内容を必ず事前に伝えなければならないわけではありません。
しかし、あらかじめ自分の考えや思いを家族と共有しておくことで、相続が発生したときに、家族が遺言書の内容を理解しやすくなり、思わぬ誤解や不満を防ぐことにもつながります。

④専門家に相談する

遺言書には法律上のルールがあり、財産の内容や家族関係によっても注意すべき点が異なります。
特に、財産の分け方が複雑な場合や、相続人以外の人に財産を残したい場合、遺留分について配慮が必要な場合などは、弁護士、司法書士、行政書士など、相続に詳しい専門家に相談しながら作成することをおすすめします。
専門家に相談することで、形式上の不備や、将来的なトラブルにつながる可能性のある点を確認しながら、自分の意思をより確実に遺言書に反映することができます。

8.まとめ

遺言書は、単に「財産をどう分けるか」を決めるための書類ではありません。残された家族が無用な争いに巻き込まれないよう、自分の意思や家族への思いを残しておくためのものです。 判断能力が低下すると、自分の意思で遺言書を作成することが難しくなる場合があります。財産の多さに関わらず、「まだ必要ない」と先送りせず、元気なうちにこれからのことを考えてみてはいかがでしょうか。
「これからも家族仲良く過ごしてほしい」「今までありがとう」――そんな思いを家族に届ける、最後のラブレター。
遺言書を、そんな家族へのメッセージとして考えてみることも大切です。

メモリアルアートの大野屋では、終活や相続の準備を包括的にサポートしておりますので「自分や家族のために、今からできる準備を具体的に知りたい」という方は、ぜひ以下のページをご覧ください。

終活・相続・高齢者支援分野 コラム監修チーム

この記事の監修者

終活・相続・高齢者支援分野
コラム監修チーム

終活・相続・高齢者支援サービスで20年以上の実務経験を持ち、累計2,000件以上の相談対応に携わってきた専門スタッフチームにて監修しています。

  • 監修領域:終活/相続/高齢者支援
  • 運営:株式会社メモリアルアートの大野屋

この記事をシェアする topicイメージ topicイメージ topicイメージ

ページトップ

通話無料 0120-02-8888 24時間365日対応(関東のみ)お葬式のご相談・お問い合せ

お葬式のお見積り(無料)

かんたん資料請求(無料)

ページトップ

お電話

資料請求